追憶

日曜日は三歳クラシックの最終戦

菊花賞

正直、馬券を購入するか悩んでいる・・・。

さっきからずっと馬柱とにらめっこしているが

もう、この状態は間違いなく賭けるだろう。

そんな菊花賞・・・。

この時期になると必ず思い出すのが

ソングオブウインドが勝った2006年の菊花賞だ。

3連単と3連複をあわせて30万以上の払い戻しで

その時の興奮は今でも覚えている。

当時の俺はスーパーの社員として働いていて

万馬券の的中をパートやアルバイトに自慢した。

普通ならジュースやらケーキでも買って

皆に還元するべきだろう・・・。

しかし、俺は一切やらなかった。

相当ケチで嫌な奴だと今の俺なら思うだろう。

ギャンブル依存症は普通の感覚とズレている。

この時は既に救いようのない状態だった。

正社員なのにパートやアルバイトから金を借りて

しかも約束の期日に返さない。

今思い返すだけでも消えたくなる。

そんな記憶がこの先ずっとつきまとうと思うと

発狂したくなる。

あー・・・。

気分が悪い。

ギャンブルって不思議で

勝った記憶は10数年前の事でもよく覚えていて

それに付帯する出来事も鮮明に覚えている。

しかし、負けた時のレースは全然覚えていない。

かろうじて学生時代に初めてやったパチンコで

激熱リーチを外し、席を立った瞬間ババァがすっ飛んできて

ものの500円で10箱以上積まれた記憶はある。

あ！

あと、もうひとつあったわ！！

先輩にボーナスで返す約束をして借りた２０万

それをあろうことかJRAで１日で溶かした。

そしてボーナス当日・・・。

俺は右から左に流すのが耐えられず

先輩に返す前に競艇（ボートピア）で増やそうとした。

だが、それもあれよあれよで

３０万あったボーナスは残り２万に。

どうする？

先輩になんて言い訳しよう・・・。

悩んでいても仕方ない。

この２万を何としてでも２０万にしなくては・・・。

捨て身の最終レース

１号艇から賭けたのでは

1点勝負じゃないと回収できない。

必然的に穴の舟券から狙うことになり

４号艇のカドまくりに期待した。

そしてスタート

隊形がモロカドまくりの展開に！！

絶好のチャンス到来！

血圧はおそらく200超

心拍数も200はあっただろう

そのまま４号艇がキレイにまくって

バックストレッチへ

この時、すでに

横のモニターの確定オッズ画面を見て計算していた。

よっしゃ～！！５０万超！！！！

ふ～、助かったぁ・・・。

金が増えたことは嬉しかったが

それ以上に返済が出来る安堵の方が強かった。

もう、こんな思いは一生したくない。

人から借りるのはもうこれで止めよう・・・。

少しだけ反省して

レースの画面に目を戻す。

第二ターンマーク

４号艇クリア～

！？

え？

ええ？？

ちょっ

えええええええ？？？？？？？

ホームストレッチに戻ってきたはずの

４号艇の姿がない・・・。

いや、状況はよく見えている

キャビって転覆。

だが、頭が追いつかない


そこで俺の記憶は途切れた。

どうやって帰ったかも覚えてない。

はっきり言おう！

ここが運命の分かれ目だった。

俺の人生はそこから面白いように転げ落ちた。

あまり語りたくないが
負けた時の記憶はこれぐらいしかない。

では大勝の記憶は

2006年の菊花賞

ソングオブウインドから買い30万ゲット

2007年の函館記念

エリモハリアーの三連覇から買い50数万ゲット

その数万円の端数を函館最終の単勝に賭けて40数万ゲット

1日に100万の大台に乗る。

そして翌日、船橋オートへ行き

トップレーサー岩田行雄の試走タイムが悪く

人気が無かったのでそこを狙ったら50万以上ゲット

二日間で150万を手にして武富士を完済した。

だが解約はせず、気づけば１か月もしないうちに負債額は元に戻っていた。

2007年の秋華賞

ダイワスカーレットとウォッカの3連単１，３着固定で60万ゲット

こうしてみると

2006年～2007年はギャンブル運に恵まれていた。

嘘くさい話だが、バイオリズムの上げ下げって

本当にあるんじゃないかと思っている。

乗ってるときは何を買っても当たるし

ダメなときは複勝１番人気の馬券すら外す。

落ちぶれも極めるとレース中でも

外すと分かるようになってくるもんだ。

一般人では到底理解できないだろう。

そういうものだ。

はい。

そんなわけで、記憶にある大勝はこれくらいありますが

生涯収支はマイナス3000万以上になります。

目先の少ない利益を追いかけた結果

２０年の時間と３０００万のお金

そして人との縁をぶち壊した。

マサよ

いかにギャンブルが割に合わないか

やっていてなんのメリットがあったか

今一度、考えてみてくれ